ウィザーズ・ブレイン5/三枝零一

 最強の魔導士の登場、そして今までのメインキャラが続々とメルボルンに集結して、物語は佳境に入ったかのような盛り上がりを予感させる。味方は敵に、立場の違いからすれ違う運命の切なさと残酷さは、この作品に常に付きまとう。果たしてハッピーエンドが訪れる日は来るのだろうか。どちらかが正義でも悪でもないことが、余計に切なく、そして理不尽だ。物語の結末は下巻に預けるが、どう転んでも誰もが幸せな終わり方などないことにやりきれなさを感じる。