殺竜事件／上遠野浩平

殺竜事件 (講談社ノベルス)

　上遠野さんにしては意外にまっとうにミステリチックなファンタジー。ブギーポップに比べてクセが少ないのでなかなか読みやすい。しかしそれでもＥＤのキャラには、やはり上遠野さんならではっていう雰囲気とクセがある。まあ、そこが魅力なのだけど。
　物語の展開や、単なる謎解きというだけでなく、それを通して語られることの中に上遠野さんの作品の魅力がある。そしてその役割を担っているのが今作ではＥＤであり、また竜の存在であるのではないかと思う。そういう面から読んでも、普通に物語としても面白い作品だと思った。