超電導ナイトクラブ/村上龍

超電導の3文字に惹かれてなんとなく買ってみた作品だったけど、やはり超電導とつくだけあってハイテックな登場人物が、これまたハイテックな世間話を繰り広げるとあるクラブでの出来事という、なんとも興味深い文学作品。ハイテックなクラブの常連たちに、男言葉を話すママと、かなり強烈な登場人物の面々に、ひたすら下ネタ話のオンパレード。そのせいか、随分と馬鹿っぽく見えるけど、勢いがあってむしろ面白い。
もちろん、文学的な面白さもあると思うし、心に残った台詞もかなり多い。「ニーチェの3悪」だとか「資本主義が文学を育てる」辺りの意見で、文学というものを少しは理解できた気がするし。
終盤に少しだらだらとした印象はあるけれど、長い短編形式のような、ストーリー展開の少ない物語なので、まあいいかと思ってしまう。むしろ重要なのは登場人物の会話の面白さと価値観や思想の興味深さか。下品なインテリジェンスという感じの印象を受けたけれど、ハイテックな話の数々は理系人間にとってはかなり面白いものであったし全体的にかなり面白かった。