君の嘘、伝説の君/清水マリコ

君の嘘、伝説の君 (MF文庫J)

君の嘘、伝説の君 (MF文庫J)

 「嘘シリーズ」前作もそうだったんだけど、toi8さんのイラストも加わって、素晴らしくいい感じの雰囲気が醸し出されている作品。ズバっと駆け巡る衝撃じゃなくて、じんわりと心に染み入る良さがたまらない、淡い青春物語。
 前作からして、大体の展開は読めたんだけど、それでも終盤、「伝説の君」の辺りからはトリハダものってか圧巻。切なくて淡くて、読後感は胸に何かが残る。
 登場人物は少なくてキャラは立っているけれど、ここでまたイラストのせいもあってか主張しすぎなくて、ちょうどいいバランス。展開運びも、王道的と言えば聞こえが悪いが、つまりは全体的に調和が取れていると思う。
 タイトルと表紙が抜群だけど、決して名前負けしていないだろう。