Dクラッカーズ7−1/あざの耕平

あざの耕平はスロースターターである、というのは一冊の本の中でも言えることかもしれない。感動と名高い最終巻上巻であるが、意外なことに出だしはあまり勢いがない気がした。焦燥感、不安感、それにすれ違い。ところどころほころびが出ている感じの危うさがある。
ただ、後半部になると、一見無意味そうに思えた手が奇手だったかのごとくに、パズルのピースがはまっていくように盛り上がってくる。きっかけになった、思い出せそうで思い出せない回想。ホント切ない……。千絵の頑張りも想いも、読んでいて苦しくなるくらいに真剣で、それが伝わってくる。
舞台は整い、役者もそろって、幕も上がった。今度こそホントのホントに最後になるんだろうなぁ。