GOTH 夜の章/乙一

GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

ハードカバーを買わずにいてよかったという、待ちに待った文庫化。久しぶりに読む乙一作品であるけれど、やっぱり乙一はすごいと思わされた。先に漫画版を読んでオチを知っていたものの、それでもお得意のひっかけには騙されるし、展開運びも巧い。
この作品はヒトの残虐な面を好む、そういった嗜好の主人公たちが出てくることで有名であるが、やはりそういったものに生理的な拒否反応を持つようなヒトにはお勧めできない作品かなと思う。自分の場合は、好きではないし、むしろ嫌いな方であるけど、それを無視できるほどに面白いと感じることができた。
ただ、ひとつツッコむとすれば犬の話。斬新なひっかけを狙ったのであろうか、オチが有り得ないことになっている。描写的にありえんだろって言いたくなった。まあ、乙一の作品なんてありえないことだらけな気もするけれど。
ツッコむとすればそこくらいで、全体的には素晴らしかった。