ウィザーズ・ブレイン3/三枝零一

ウィザーズ・ブレイン〈3〉光使いの詩 (電撃文庫)

ウィザーズ・ブレイン〈3〉光使いの詩 (電撃文庫)

いつもなら重くて重くてしょうがないウィザブレも、今回は半分くらいまでは微笑ましいような幸せっぷり。現実逃避気味の至福の時間は、しかしなかなかそれだけでもいい話。
しかし、幸福は絶望を引き立てるスパイスの如く現実を呼びさまし、哀しく虚しい戦闘が幕を開けるいつものウィザブレ。
今回の見所は主人公の少年。葛藤しまくりの少年が出した結論は、至って予想通りなものだった。しかしそれでも、勝手にふっきれたり正義ぶったりせず、ただ罪と戦いながら生きていく決断を下すのは、そう易くはないはず。
哀しくて、救われない物語なのにとんでもないほど綺麗な終わり方だった。