六番目の小夜子/恩田陸

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

まず、出だしから読む気をそそられる。一種のゲームのようなもの、そんな謎めいたサスペンス。この作品では、謎を追い求める面、人間関係のドラマを描く面、学園祭など高校生ならではのドラマを描いた面、などがあり、それらの下で、解説でも語られているが、学校という閉じられた集団、永遠と循環をテーマに描かれているのだろう。
展開は、だらだらかな、と思ったところで急展開と緩急を上手く使い分けている。ただ、強調したいところを太字で表現しているが、そこは太字にせずとも文章の流れで強調してほしいものだと思う(でもそういうのは結構好きだったりする)。
小夜子の劇に関しては、確かに引きずり込む力、勢いとスピードがあったがカギカッコが少々邪魔に思えたりもした。それに、あの見せ場とも言える場面をもう少し魅せることができたなら、なおいっそう面白い作品になっていたのではないだろうか。
ともあれ、最終的に謎が残るというのはけっこう好きな方なので、後味の微妙さがなんとも言えないくらい良かった。