天帝妖狐/乙一
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/07/19
- メディア: 文庫
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「A MASKED BALL」
来た!乙一の作品だ、と思わせる上手い作品。らくがきによってのみの会話という不思議な物語は、巻末で我孫子氏が言うように現代のネットワークと重ねることもできる。人の来ないトイレの掲示板というユニークな内容と、その会話の内容による軽めのミステリが絡み合ってライトノベルのような読みやすさ、面白さがあった。感動系ではないがかなり完成度の高い作品だったと思う。
「天帝妖孤」
二人の視点から物語が綴られているわけだが、片方が普通の一人称。もう片方が手紙文という非常に乙一らしい演出をしてくれている。初めの方はコックリさんとかの内容があるからホラー系かと思っていると、そこは切なさの達人。途中から人間関係が希薄になっている少女と、人間社会で生きられなくなった青年との掛け合いになり、途中からだんだん切なくしていく辺りはさすがだ。心に響いたり感動することはなかったが、微妙な読後感が良い作品だった。