そのケータイはXXで/上甲宣之

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

 読み始めは、少し民俗学的なウンチク臭さを持つ作品だなと思った。実際、少し説明過多気味なところもあって、文章もそんなに上手くない気がした。
 でも、スピードに乗ってきたらもう止まらない。どんでん返しなんてもんじゃない、どんでん返し返し返し返しとかそれくらいまでに、ラストが全く予想できない。とにかく展開運びや構成が上手い。もしくは物凄い力技か。
 それともうひとつの見所は、アクション。一見普通の女の子が繰り広げる頭脳アクション、二章全体にわたってアクションが続くのは面白いしなんだか少し、可笑しい。説明しているウンチク臭さが時折アホくさくてさらに面白い。
 細々とした突っ込みどころは多々あるけれど、全体的にハラハラドキドキで、ラストも上手くまとまっていてとても面白いエンタテインメントだった。