生協の白石さん/白石昌則、東京農工大学の学生の皆さん

生協の白石さん

生協の白石さん

 面白いっていうよりも、感心する。白石さんすげぇって。
 ネタが投稿されて、それに対してユニークかつ真面目に答える。それだけのことが、とても微笑ましい。この本の感想を書こうとすると、どうしても諸氏による解説のパクリになってしまうのだけど、「どんなことを書いても真面目に答えてくれる」ということが、どんな自分をも受け入れてもらえているようで、嬉しい。ひとこと掲示板は、そんな癒しの場でもあったのではないだろうか。
 悩み相談に対しても、生協職員白石さんの真面目な態度は崩れない。それでいて、その答えは、「頑張ってみようかな」と思えるようなもの。ほんとすごいなぁ。
 ネットで見て知ってる人も多いと思うけど、それでも買う価値はあると思う。直筆だと、それはそれで味があっていいけど、印刷だと見やすいし、シュールな雰囲気が出てる。そして何より、白石さんのインタビューも載ってる。
 彼が「生協の白石さん」が話題になっていることを知ったのは、「リュウとケン」のやつのちょっと後らしい。つまりは、知っててやってたんだってこと。まあ、当然だけど。しかし、自分の書く答えが注目を浴びている中で、それでも自惚れもせず自分なりの答え方を守ってきたわけだから、彼の謙虚さには敬服する。
 そう、謙虚さ。「お客様」に対する従業員の態度として、彼の態度は正に見本だろう。少しふざけた投稿にちょっと苛立つ白石さん。その後すぐに自分の浅はかさを知るとあるのだから、この謙虚さは素晴らしいものである。
 この本を読めば誰しも「白石さんのような人が周りににいればなぁ」と思うだろう。ユニークなセンスはともかくも、その謙虚さを見習えば、誰かの白石さんになれるかもしれないなぁ。