「普通がいい」という病/泉谷閑示

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

いい意味でもなく、悪い意味でもなく
純粋な意味での「期待はずれ」。
表題から日本人の社会性に関する批判かと思いきや、実際に述べられているのは、あるケースにおける精神病患者に対するような詭弁である。これは、著者が精神科医であることが原因なのだろうけれど、普通に本を読む心算で読んでみると多少腹立たしい部分が見受けられる。
本書の内容は、「普通でなければならない」という強迫観念を持った患者に対して、最初は偉人の言葉を引用しつつ(この引用が本当に多い)心理学を用いた詭弁で、後半はまたもや引用を含みつつ宗教的な見地から、言いくるめようとしているというものである。
気に入らないのがこの詭弁で、論理的には滅茶苦茶なことを言ったりしているのだが、例の引用を使ってそれらしく仕上げているため、精神科に通うような人ならば言いくるめられてしまうかも。
多少勉強になるところもあるものの、コンセプトが気に食わないので評価は低目。